在留資格「経営・管理」
外国人が個人の方から会社を設立する依頼を受ける場合に、セットでご依頼を受けることが多いので、この経営・管理への在留資格変更・又は在留資格認定証明書交付申請です。
経営・管理は、就労系の在留資格の一つです。会社を経営するために必要な在留資格を持っていない場合には、この資格を取得しないとせっかく会社を設立しても経営することができません。
一般的には会社を設立した場合や、外国人の経営者を招へいした場合に、社長に就任する外国人が取得する在留資格です。
日本において行うことができる活動内容等
入管法では、活動内容を下記のように定められています。
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
具体的には下記の者が対象となります。
- 企業の代表取締役など代表権のある経営者
- 比較的大きい企業の部長職などの管理者
企業の代表取締役など代表権のある経営者の許可基準
- 事業所を確保
- 申請に係る事業が所定の規模より大きいこと
更新をする際には事業の継続性も審査されます。
事業所の確保
事業所は独立性のある物件である必要があります。例えば、自宅兼事務所や共同事務所、シェア事務所のような形態ですと、許可が得られない場合がありますが、許可が得られる場合もあります。これは物件の構造により独立性が確認できるかどうかというのがポイントとなります。
共同事務所の場合には、共益費等の負担割合が共同で使用する他社と具体的に定められている必要があります。
いわゆるバーチャルオフィスでは経営管理の資格を取得することはできません。
事務所の大きさの要件はありません。レンタルオフィスなどですと専有部分が2~3平米くらいのかなり小さい事務所もありますが、許可の取得には支障はありません。
事業規模
事業規模は、次の3つのいずれかの基準を満たせばいいことになっています。
- 申請人以外に2人以上の常勤の職員(就労ビザの在留資格の外国人を除く。)が従事して営まれるものであること。
- 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
- 申請人以外に1人の常勤の職員(就労ビザの在留資格の外国人を除く。)が従事して営まれ、資本金の額又は出資の総額が250万円以上であること。
例えば、永住者や日本人の配偶者など、就労ビザ以外の外国人であれば上記の常勤の従業員にカウントできます。
事業の継続性
在留資格を取得する申請の際には問題となりませんが、更新をしていくときに問題となります。簡単に言えば、ずっと利益が出ていれば基本的には更新をする上で問題ないことになります。
会社の財務状況が、下記のいずれかに該当している場合には、在留資格の更新ができない場合があります。
- 直近の2期の期末の決算で債務超過であること
- 直近の2期の期末の決算において共に売上総利益がない
また、租税関係法規や労働・社会保険関係法規を遵守していないことも、審査にあたって、消極的に判断される要素となります。
その他
パソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器など、設備を事務所内に用意しておく必要があります。
許認可が必要な事業を運営する予定の場合には、在留資格の申請をする前に、許認可を取得しておいた方がいいことになっています。ただ、役員が在留資格を取得してからではないと許認可の申請自体ができない場合もあります。その場合には、許可の取得は後にせざるを得ません。その旨は入管に対して説明した方がいいでしょう。細かい流れは各許認可によって異なります。
比較的大きい企業の部長職などの管理者の許可基準
会社の社長ではなく、管理者として経営・管理の在留資格を取得する場合には、上記と異なった要件があります。基準は下記のとおりです。
- 三年以上の実務経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有すること
- 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること